早川書房が2026年2月に出した『SFが読みたい!2026年版』。そこで発表された最新ランキング、ベストSF2025の国内篇トップ10がこちらです。
| 順位 | 作品 | 著者 |
|---|---|---|
| 1 | 鹽津城 | 飛浩隆 |
| 2 | 伊藤典夫評論集成 | 伊藤典夫 |
| 3 | 去年、本能寺で | 円城塔 |
| 4 | 火星の女王 | 小川哲 |
| 5 | 遊戯と臨界 | 赤野工作 |
| 6 | 暗号の子 | 宮内悠介 |
| 7 | まるで渡り鳥のように | 藤井太洋 |
| 8 | 世界99 | 村田沙耶香 |
| 9 | ときときチャンネル ない天気作ってみた | 宮澤伊織 |
| 10 | すべての原付の光 | 天沢時生 |
作品名はAmazonにつないであります。
ひとつだけ、ややこしいところを先に。本のタイトルは『2026年版』ですが、載っているのは2025年に出た作品のランキングです。誌面ではこれを「ベストSF2025」と呼びます。この記事でもそう書きます。
SF作品って、面白そうだけど難しそうなイメージがありませんか?
しかも、何から読み始めたらいいか分からない。
ランキングに入っている作品なら面白いのではないかと探してみたものの、本の厚さに「これは読めない」と諦めてしまうことも。
私もそれを何年も繰り返していました。本を買っても、読めずに終わった本もあります。しかも読み始めても10ページで寝てしまったり。
そんな時に出会ったのが、耳で本を聴くオーディブル。全然読めなかった本を、1年で150冊以上聴いています。
SFが読みたい!の作品もオーディブルにあるのでは?と思って、歴代1位から直近3年のトップ10まで、121作品を探しました。
聴けるのは17作品。少なく感じますが、17冊読むのは大変です。
SFをじっくり耳で楽しんでみませんか?
ベストSF2025 国内篇と海外篇

国内篇の1位は飛浩隆『鹽津城』。海外篇の1位はR・F・クァン『バベル』でした。
海外篇トップ10
| 順位 | 作品 | 著者 |
|---|---|---|
| 1 | バベル | R・F・クァン |
| 2 | 反転領域 | アレステア・レナルズ |
| 3 | 侵蝕列車 | サラ・ブルックス |
| 4 | 非在の街 | ペン・シェパード |
| 5 | シナバー 辰砂都市 | エドワード・ブライアント |
| 6 | ロボットとわたしの不思議な旅 | ベッキー・チェンバーズ |
| 7 | 絶滅の牙 | レイ・ネイラー |
| 8 | 宙の復讐者 | エミリー・テッシュ |
| 9 | 電脳の歌 | スタニスワフ・レム |
| 10 | 火炎人類 | オラフ・ステープルドン |
歴代1位のすべて 1993〜2025

33年ぶんの国内篇・海外篇の1位を並べました。作品名からAmazonで探せます。
| 年 | 国内篇1位 | 海外篇1位 |
|---|---|---|
| 1993 | パプリカ/筒井康隆 | アヌビスの門/ティム・パワーズ |
| 1994 | エイダ/山田正紀 | シェイヨルという名の星/コードウェイナー・スミス |
| 1995 | ソリトンの悪魔/梅原克文 | ハイペリオン2部作/ダン・シモンズ |
| 1996 | 星界の紋章/森岡浩之 | つぎの岩につづく/R・A・ラファティ |
| 1997 | ライトジーンの遺産/神林長平 | 火星夜想曲/イアン・マクドナルド |
| 1998 | BRAIN VALLEY/瀬名秀明 | タイム・シップ/スティーヴン・バクスター |
| 1999 | クリスタルサイレンス/藤崎慎吾 | 宇宙消失/グレッグ・イーガン |
| 2000 | 永遠の森 博物館惑星/菅浩江 | エンディミオンの覚醒/ダン・シモンズ |
| 2001 | かめくん/北野勇作 | 祈りの海/グレッグ・イーガン |
| 2002 | 太陽の簒奪者/野尻抱介 | 航路/コニー・ウィリス |
| 2003 | マルドゥック・スクランブル/冲方丁 | あなたの人生の物語/テッド・チャン |
| 2004 | 象られた力/飛浩隆 | 万物理論/グレッグ・イーガン |
| 2005 | 老ヴォールの惑星/小川一水 | ディアスポラ/グレッグ・イーガン |
| 2006 | ラギッド・ガール/飛浩隆 | デス博士の島その他の物語/ジーン・ウルフ |
| 2007 | 虐殺器官/伊藤計劃 | 双生児/クリストファー・プリースト |
| 2008 | 新世界より/貴志祐介 | 時間封鎖/ロバート・チャールズ・ウィルソン |
| 2009 | ハーモニー/伊藤計劃 | ペルディード・ストリート・ステーション/チャイナ・ミエヴィル |
| 2010 | 華竜の宮/上田早夕里 | 異星人の郷/マイクル・フリン |
| 2011 | これはペンです/円城塔 | プランク・ダイヴ/グレッグ・イーガン |
| 2012 | 屍者の帝国/伊藤計劃・円城塔 | 都市と都市/チャイナ・ミエヴィル |
| 2013 | 皆勤の徒/酉島伝法 | 夢幻諸島から/クリストファー・プリースト |
| 2014 | オービタル・クラウド/藤井太洋 | 火星の人/アンディ・ウィアー |
| 2015 | エピローグ/円城塔 | 紙の動物園/ケン・リュウ |
| 2016 | 夢みる葦笛/上田早夕里 | 死の鳥/ハーラン・エリスン |
| 2017 | 自生の夢/飛浩隆 | 隣接界/クリストファー・プリースト |
| 2018 | 零號琴/飛浩隆 | 折りたたみ北京/ケン・リュウ編 |
| 2019 | なめらかな世界と、その敵/伴名練 | 三体/劉慈欣 |
| 2020 | オクトローグ/酉島伝法 | 息吹/テッド・チャン |
| 2021 | 異常論文/樋口恭介編 | 三体III 死神永生/劉慈欣 |
| 2022 | 法治の獣/春暮康一 | プロジェクト・ヘイル・メアリー/アンディ・ウィアー |
| 2023 | グラーフ・ツェッペリン/高野史緒 | チク・タク・チク・タク…/ジョン・スラデック |
| 2024 | 一億年のテレスコープ/春暮康一 | 精霊を統べる者/P・ジェリ・クラーク |
| 2025 | 鹽津城/飛浩隆 | バベル/R・F・クァン |
国内で最多1位は飛浩隆 さんの4回(2004・2006・2017・2025)。海外はグレッグ・イーガン の5回(1999・2001・2004・2005・2011)。日本と海外、それぞれ「SF読みがいちばん推している作家」と思ってもらえば近いです。
このランキングは、約100人が「自分のベスト5」を挙げて決まります。1位に選べば10点、5位なら6点という配点です。
この記事で取り上げた歴代1位10作品の得点は、285点から663点まで開きがありました。いちばん高いのが『皆勤の徒』の663点、次が『三体』の620点。1位のなかでも支持がとりわけ厚い2作品です。
過去3年のトップ10(ベストSF2024・2023)

最新だけでなく、過去3年ぶんも載せておきます。
ベストSF2024 国内篇
| 順位 | 作品 | 著者 |
|---|---|---|
| 1 | 一億年のテレスコープ | 春暮康一 |
| 2 | コード・ブッダ | 円城塔 |
| 3 | 奏で手のヌフレツン | 酉島伝法 |
| 4 | 銀河風帆走 | 宮西建礼 |
| 5 | マン・カインド | 藤井太洋 |
| 6 | ここはすべての夜明けまえ | 間宮改衣 |
| 7 | 射手座の香る夏 | 松樹凛 |
| 8 | 感傷ファンタスマゴリィ | 空木春宵 |
| 9 | 山手線が転生して加速器になりました。 | 松崎有理 |
| 10 | ビブリオフォリア・ラプソディ | 高野史緒 |
| 10 | わたしは孤独な星のように | 池澤春菜 |
10位が2作品あるのは、高野史緒さんと池澤春菜さんが同点だったからです。
ベストSF2023 国内篇
| 順位 | 作品 | 著者 |
|---|---|---|
| 1 | グラーフ・ツェッペリン | 高野史緒 |
| 2 | わたしたちの怪獣 | 久永実木彦 |
| 3 | ときときチャンネル 宇宙飲んでみた | 宮澤伊織 |
| 4 | 走馬灯のセトリは考えておいて | 柴田勝家 |
| 5 | あなたは月面に倒れている | 倉田タカシ |
| 6 | 禍 | 小田雅久仁 |
| 7 | シュレーディンガーの少女 | 松崎有理 |
| 8 | 回樹 | 斜線堂有紀 |
| 9 | アナベル・アノマリー | 谷口裕貴 |
| 10 | AIとSF | 日本SF作家クラブ編 |
『SFが読みたい!』ってどんな本?

ここまでランキングを並べましたが、そもそもこのランキングは何なのか。
『SFが読みたい!』は早川書房が毎年2月に出すムックです。1990年に企画が始まり、2001年から書籍になりました。
中心コンテンツが「ベストSF」ランキング。SF関係者約100人が「マイ・ベスト5」を投票し、1位に10点、2位に9点……5位に6点、順不同なら各8点として集計します。国内篇・海外篇それぞれ30位まで発表。
ひとつ、誤解されやすいところがあります。ベストSFの「1位」は賞ではありません。日本SF大賞や星雲賞のようなトロフィーは出ない、読者と関係者が選ぶ人気投票です。
ただ、上位に入る作品は賞も獲っていることが多い。『マルドゥック・スクランブル』『新世界より』『皆勤の徒』は、どれも日本SF大賞を受賞しています。
オーディブル(Audible)ってどんなサービス?

ここから先は「聴ける作品」の話になるので、Audibleのことを少しだけ。
Amazonが運営するオーディオブックのサービスです。プロのナレーターが朗読した音声を、スマホやタブレットで聴きます。読み上げソフトの機械音声ではなく、人の声。
- プレミアムプラン:月額1,500円で聴き放題
- スタンダードプラン:月額880円で毎月1冊
- 30日間の無料体験あり(登録はブラウザから)
通勤や家事、散歩のあいだに本が進みます。本を開く時間がなくても、耳が空いていれば読書ができる。
Audibleで聴けるSFについてもっと知りたい方は、Audibleで聴けるSFおすすめ12選もあわせてどうぞ。
121作品のうち、オーディブルで聴けるのは17作品だった

ランキングを見ていると、読んでみたい本が何冊か出てきます。ただ、SFは分厚い本が多いんですよね。
そこで気になったのが、この中にオーディブルで聴ける本はどれくらいあるのか。
歴代1位66作品と、直近3年のトップ10。重複を除いた121作品を、Audibleで1作ずつ検索しました(2026年9月10日)。
ランキング入りした17作品が、耳で聴けます。しかも16作品は追加料金なしの聴き放題。単品購入が要るのは1作品だけでした。

歴代1位の常連ほど日本語版がない。飛浩隆さん(1位4回)もグレッグ・イーガン(1位5回)もゼロって……。イーガンは英語版ならあるんですけどね。
ランキング別に見ると
先に並べたランキングを、聴けるかどうかで見直すとこうなります。
- ベストSF2025:国内篇は4位『火星の女王』と8位『世界99』の2作品。海外篇はゼロ
- ベストSF2024:国内篇は4作品(4位・6位・7位・10位)。海外篇はゼロ
- ベストSF2023:国内篇は3位『ときときチャンネル 宇宙飲んでみた』の1作品。海外篇はゼロ
- 歴代1位:66作品のうち10作品(国内6・海外4)
海外篇は、3年ぶんのトップ10がすべてゼロ。日本語の音声がまだ作られていないんです。
歴代1位で聴けるのは、伊藤計劃(2作品)、冲方丁、貴志祐介、酉島伝法、伴名練、ケン・リュウ、劉慈欣(2作品)、アンディ・ウィアー。国内6作品、海外4作品です。
いちばん推されている作家ほど、無い。国内で最多1位の飛浩隆さんも、海外で最多のグレッグ・イーガンも、日本語の音源は1作品もありません。
海外篇は、英語版なら聴ける
日本語版は無くても、原語版なら配信されている作品があります。ベストSF2025の海外篇トップ10で見ると、10作品のうち8作品に英語版がありました。
| 順位 | 作品 | 英語版(リンクから聴けます) |
|---|---|---|
| 1 | バベル | Babel/仏・伊・西は聴き放題 |
| 2 | 反転領域 | Eversion |
| 3 | 侵蝕列車 | The Cautious Traveller’s Guide to the Wastelands |
| 4 | 非在の街 | The Book of M |
| 5 | シナバー 辰砂都市 | なし |
| 6 | ロボットとわたしの不思議な旅 | A Psalm for the Wild-Built/独語は聴き放題 |
| 7 | 絶滅の牙 | The Tusks of Extinction(聴き放題) |
| 8 | 宙の復讐者 | Some Desperate Glory |
| 9 | 電脳の歌 | The Cyberiad |
| 10 | 火炎人類 | なし |
邦題では検索しても出てきません。上の表の英語タイトルから、そのまま商品ページへ飛べるようにしました。7位『絶滅の牙』は英語版が聴き放題の対象です。
歴代1位でも同じです。イーガンは『宇宙消失』(Quarantine)『万物理論』(Distress)『ディアスポラ』(Diaspora)が英語版で配信されていますし、テッド・チャンの『息吹』(Exhalation)はスペイン語版が聴き放題に入っています。日本語だけが追いついていない、というのが実態でした。
まず選ぶなら、この3冊
17作品ぜんぶ見る前に、私が実際に聴いたなかから3冊。
- 短いものから試したい → 『ここはすべての夜明けまえ』2時間57分。通勤や家事の時間を足せば、1日で最後まで行けます
- 王道のSFを聴きたい → 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』上下巻25時間38分。長いのに、続きが気になって速度を上げながら最後まで行きました
- 難しそうで敬遠している → 『銀河風帆走』9時間15分。化学の話は分からなかったけれど、そこは聞き流してもストーリーは追えました
3冊とも聴き放題の対象です。初めてなら30日間の無料体験で聴けます。
\気になる1冊を、まずは30日間無料で/
※終了後は月額1,500円で自動更新
17作品の一覧
| 作品 | 著者 | 順位 | ナレーター | 再生時間 | 聴き放題 |
|---|---|---|---|---|---|
| ここはすべての夜明けまえ | 間宮改衣 | 2024国内6位 | 池ちさ子 | 2:57 | ○ |
| ときときチャンネル 宇宙飲んでみた | 宮澤伊織 | 2023国内3位 | 奈波果林・藤井彩加 | 5:54 | ○ |
| わたしは孤独な星のように | 池澤春菜 | 2024国内10位 | 池澤春菜 | 6:20 | ○ |
| 紙の動物園 | ケン・リュウ | 歴代海外1位(2015) | 小林直人 | 6:55 | △ |
| マルドゥック・スクランブル | 冲方丁 | 歴代国内1位(2003) | 大森ゆき | 8:45 | ○ |
| 火星の女王 | 小川哲 | 2025国内4位 | 斉藤壮馬 | 9:12 | ○ |
| 銀河風帆走 | 宮西建礼 | 2024国内4位 | 浅井晴美 | 9:15 | ○ |
| ハーモニー | 伊藤計劃 | 歴代国内1位(2009) | 池添朋文 | 9:37 | ○ |
| 射手座の香る夏 | 松樹凛 | 2024国内7位 | 浅井晴美 | 10:32 | ○ |
| 皆勤の徒 | 酉島伝法 | 歴代国内1位(2013) | 下山吉光・池澤春菜 | 11:29 | ○ |
| 新世界より | 貴志祐介 | 歴代国内1位(2008) | 大森ゆき | 11:32 | ○ |
| 虐殺器官 | 伊藤計劃 | 歴代国内1位(2007) | 石井一貴 | 11:43 | ○ |
| なめらかな世界と、その敵 | 伴名練 | 歴代国内1位(2019) | 三浦冴子 | 13:16 | ○ |
| 世界99 | 村田沙耶香 | 2025国内8位 | 大森ゆき | 27:15(上下巻) | ○ |
| 三体III 死神永生 | 劉慈欣 | 歴代海外1位(2021) | 祐仙勇 | 17:19 | ○ |
| 三体 | 劉慈欣 | 歴代海外1位(2019) | 祐仙勇 | 17:31 | ○ |
| プロジェクト・ヘイル・メアリー | アンディ・ウィアー | 歴代海外1位(2022) | 井上悟 | 25:38(上下巻) | ○ |
○=聴き放題 / △=単品購入のみ
再生時間の短い順に並べています。短いものから3つのグループに分けて紹介します。
3時間以下:ここはすべての夜明けまえ
17作品の最短は『ここはすべての夜明けまえ』の2時間57分。体が永遠に老化しない手術を受けた主人公が、九州の山奥で家族の歴史を綴っていく物語です。文章の大半がひらがなで書かれています。三島由紀夫賞候補作。ベストSF2024国内篇6位。
6時間前後の3作品
『ときときチャンネル 宇宙飲んでみた』(5時間54分)は配信者の女性二人が宇宙を飲んだり時間を育てたりする実験をライブ配信する話。コメント欄形式の文体が新しいコメディSF。ベストSF2023国内篇3位。
『わたしは孤独な星のように』(6時間20分)は宇宙・深海を舞台にした短編集。著者の池澤春菜さんは声優でもあり、自分の作品を自分で朗読しています。ベストSF2024国内篇10位。
『紙の動物園』(6時間55分)はケン・リュウの短編集。表題作はヒューゴー賞・ネビュラ賞・世界幻想文学大賞を単独作品で同時受賞した史上初の快挙。「SFは難しそう」という人に向く、感情に訴える物語が中心です。ベストSF2015海外篇1位。17作品のうち、この1冊だけが聴き放題の対象外(単品購入のみ)。
8時間以上:じっくり聴きたい作品
ここから先は8時間を超えます。週末に1冊、くらいの気持ちで。
『マルドゥック・スクランブル』(8時間45分)は裏社会に巻き込まれた少女が特殊な力で反撃する、疾走感のあるハードSFアクション。冲方丁のデビュー作でアニメ映画にもなりました。
『火星の女王』(9時間12分)は直木賞作家・小川哲による火星移住SF。「SF初心者でも迷わない」と評判で、NHKでドラマ化されています。
『銀河風帆走』(9時間15分)は科学部の高校生が小惑星の軌道を変えたり、恒星間宇宙船で決闘したりする、青春×ハードSFの短編集。5作入っています。日本SF大賞特別賞受賞。
『ハーモニー』(9時間37分)と『虐殺器官』(11時間43分)は伊藤計劃の代表2作品。管理社会を描くディストピアSFで、どちらもアニメ映画化。発表順は虐殺器官が先、ハーモニーが後。
『射手座の香る夏』(10時間32分)は夏の青春SF短編集。SFのアイデアとミステリーの切れ味が同居しています。
『皆勤の徒』(11時間29分)は独自の造語が飛び交う異形のSF短編集。Audibleで聴ける作品のなかでは最高の663点を集めた1冊ですが、万人向けではありません。日本SF大賞受賞。
『新世界より』(11時間32分)は念動力を手にした人類1000年後の社会を描くディストピアSF。前半は進みが遅いという声もありますが、終盤の伏線回収が評価されている作品です。テレビアニメにもなりました。
『なめらかな世界と、その敵』(13時間16分)は並行世界を行き来する少女たちの物語を軸にした短編集。発売1週間で4刷になった話題作。
『三体』(17時間31分)と『三体III 死神永生』(17時間19分)は劉慈欣の代表作。Netflix実写ドラマも話題になりました。三体→三体II→三体IIIの順に聴く前提のシリーズです。三体IIもAudibleにあります。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(上下巻で25時間38分)は記憶を失ったまま宇宙に送り込まれた元教師が、人類滅亡を防ぐために奮闘するハードSF。2026年にライアン・ゴズリング主演で映画化されました。
『世界99』(上下巻で27時間15分)は『コンビニ人間』の村田沙耶香によるディストピア長編。性・生殖・愛のあり方を社会制度ごと描き直す、挑発的な物語です。
同じ書名の別の本に気をつけて

Audibleで検索するとき、ちょっとした罠があります。
同じ書名で、まったく別の本がヒットすることがあるんです。今回17作品を調べる過程でも、3件ありました。
『双生児』で検索→出てくるのは江戸川乱歩の短編(44分)。クリストファー・プリーストのSF長編ではありません。
『火星の人』で検索→出てくるのはオリヴァー・サックスの『火星の人類学者』。アンディ・ウィアーの小説(映画『オデッセイ』の原作)ではありません。日本語版はないのですが、英語版の The Martian なら聴き放題で聴けます。
『息吹』で検索→出てくるのは平野啓一郎の同名小説。テッド・チャンのSF短編集ではありません。
書名だけでなく、著者名まで確かめてから再生ボタンを押してください。

「双生児」を再生して「なんか違う……」と思ったのは私です。
17冊のうち、まず聴いた6作品

17作品のうち、いま聴き終えているのが、この6作品です。
聴いていて気づいたことがあります。うち4作品で、同じことを思っていました。
「これ、SF?」
SFを読もうと構えて再生したのではないんです。聴いているうちに、「ああ、これはSFなんだ」と気づいた。4冊とも。
残る1冊は逆でした。最初から「これぞSFという感じ」。その1冊で分かったことが、いちばん大きかったんですが、それは後半に書きます。
ここはすべての夜明けまえ(2時間57分)
「何の話だろう。SF?」
聴き始めた瞬間の感想です。Audibleのジャンル表示にもSFと入っていなかった。
何だ? どういうことだ?と思っていると、だんだん話がわかってくる。
ああ、SFなんだ、と。
この作品は2時間57分。散歩のあいだに最後まで行けます。
淡々としていて聴きやすい声。1.7倍速でも大丈夫でした。
世界99(上下巻で27時間15分)
これもSF?と思いながら聴いていました。
上巻はイライラしました。登場人物の扱われ方がひどくて、聴いていてしんどい場面が続くんです。
上下巻で27時間15分。途中でやめてもおかしくない長さです。でも下巻に入ると、今後、人間はこうなっていくのかもと思えてしまう。最後はなかなかな結末でした。面白い。
2.0倍速で聴いても聴きやすかった。朗読が上手なんだと思います。
Audibleのレビューを見ると、受け取り方がまるで違う人がいます。ある男性の読者は「気持ちが悪くなる作品は初めてだった」と書いていて、別の男性は「手を叩いて喜んでしまった」と。
同じ本なのに、ここまで割れる。
それだけ、読む人によって刺さる場所が違う作品です。
ときときチャンネル 宇宙飲んでみた(5時間54分)
配信者の会話で進むので、Audibleにピッタリでした。
カテゴリーはSFだけど「SFか?」と思える内容で、面白かった。ナレーターが2人いるので、配信者同士の掛け合いがそのまま声で届きます。
SFのつもりで聴かなくていい。気づいたらSFの世界に入っている、そういう作品です。
わたしは孤独な星のように(6時間20分)
著者の池澤春菜さんは声優でもあって、この作品は本人が朗読しています。
だから作品のニュアンスが正確に伝わってきます。「そこはそう読むのか」と思う場面が何度もありました。
SFの短編集です。難しさもなく聴きやすい。色々な世界の話なので、想像するのも楽しい。
銀河風帆走(9時間15分)
こちらは最初から、これぞSFという感じでした。SFの短編が5作。ナレーターは聴きやすい声です。
化学物質とかの話が、全然わからなかった。
それでも最後まで行けたんです。
理解しようとは思わなかったから、聞き流しました。それでもストーリーは分かる。
ここが、SFを敬遠している人にいちばん伝えたいところです。専門的なところを全部わかろうとしなくていい。 分からない場所は流しても、話はちゃんと追えます。紙で読んでいたら、たぶん何度も前に戻って、そこで力尽きていました。
日本SF大賞の特別賞を受賞している作品です。
プロジェクト・ヘイル・メアリー(上下巻で25時間38分)
上下巻あわせて25時間38分。数字だけ見ると、気が遠くなりますよね。
でも最後まで行けました。この1冊だけは、場面ごとに速度を上げ下げしながら聴いたんです。先が知りたくてたまらない場面は上げて、じっくり味わいたいところは落として。
上巻を読み終えられない人がいたら、続きは耳で追えます。しかも聴き放題の対象です。
聴きどころは『プロジェクト・ヘイル・メアリー』Audibleレビューに書きました。
迷ったら最初の1冊は『ここはすべての夜明けまえ』
2時間57分。ベストSF2024国内篇6位。聴き放題。
3時間なら、通勤や家事のあいだで終わります。SFを1冊、最後まで。まずはそこからで十分です。
そのうえで、もし『三体』や『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が本棚で止まっているなら、そこへ戻ってみてください。どちらも聴き放題です。 3時間の1冊で耳が慣れたあとだと、あの分厚さの見え方が変わります。

「SFは難しそう」と身構えなくていい。わからない場所は聞き流しても、話はちゃんと分かるから。
Audibleを使ってみようか迷っている方は、私がAudibleを続けている理由も読んでみてください。
よくある質問
Q:『SFが読みたい!2026年版』はいくら?どこで買える?
定価1,386円(税込・本体1,260円)です。176ページ。書店、電子書籍のほか、Amazonでも買えます。11位以下の順位や、作家からのメッセージ、サブジャンル別のベストが載っているのは本のほうだけです。
Q:次のランキングはいつ出る?
毎年2月です。次は2027年2月ごろに『SFが読みたい!2027年版』(ベストSF2026)が出る見込みです。
Q:聴き放題の対象は変わることがある?
変わります。この記事に載せた17作品は、2026年9月10日に1作ずつ検索して確かめたものです。気になる作品があったら、その日のうちにライブラリへ入れてしまうのが確実です。
Q:上位作品が今後Audibleに来ることはある?
分かりません。いつ何が音声化されるかは、事前に知る方法がないからです。この記事は在庫を調べ直して更新していきます。
Q:SFは倍速で聴いても大丈夫?
作品によります。『世界99』は2.0倍速でも聴き取れました。一方『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、場面によって速度を上げ下げしながら聴いています。SFは世界設定が独特なぶん、固有名詞が続く場面でつまずきやすい。速さは1冊の中で変えていいと思っておくと、気が楽になります。
まとめ
- 『SFが読みたい!』は早川書房が毎年発表するSFの人気投票ランキング
- 歴代1位+直近3年トップ10の121作品中、Audibleにあるのは17作品
- 最短は2時間57分の『ここはすべての夜明けまえ』。迷ったらここから
- 『三体』も『プロジェクト・ヘイル・メアリー』も聴き放題。紙で止まっているなら、続きは耳で追える
- 専門的な話が出てきても、わからない場所は聞き流していい。それでもストーリーは分かる
ランキングを見て「面白そう」で終わらせない。耳でなら、最後まで行ける1冊があります。
ミステリーのランキングが気になる方は、このミステリーがすごい!2026年版とAudibleで聴ける10作品もあわせてどうぞ。
\気になる1冊を、まずは30日間無料で/
※終了後は月額1,500円で自動更新
